決算書は誰のためにあるのか?

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そもそも論になりますが、決算書は何のためにあるのか……。私は社長のためにあると思っています。

本来ならば、まず総資産と売上高の関係を確認します。1年間で何回転したかということです。 総資産の金額が減って売上高が増えれば効率の良い経営をしていることになります。

次は流動資産の合計と固定資産の合計の割合を見ていきます。固定資産の割合が増えているということは金回りが悪いという評価になります。

総資産が減って流動資産の割合が増えて純資産と言われている利益の積み増しが増える、借入金が減っていくのが形のいい決算書です。

でも銀行の場合はパーツパーツで見ていきます。全体観で見ないのです。

目次

決算書はお金を借りるための道具ではない

経営という視点で見れば、お金を借りて、設備投資をしないで、運転資金に使って、売上と利益を1年以内に回収して借金を減らしていくのがいい経営です。でも、こういう簡単な説明を銀行員ができるかといえば、8割以上はできないでしょう。

要するに、決算書は経営を読み解くためにあるのですが、銀行員はそう言った見方をまったくしない、できない。だから私は、銀行員は決算書が読めない、と言うのです。

彼らは結果論として、こんな形で出たという見方しかしません

例えば外部環境のことを考えてみてください。その年の為替相場とか、原油価格とか、その時の法的規制がどういう状況だったのか……。外部環境を見ながら、その時々で社長さんがどういう意思決定をしてきたのかを読み解くのが決算書なわけです。これが「読める」という基本的なレベルなのです。

税理士の先生も、その大半が読めないと言っていいかもしれません。

いい悪いじゃありません。「経営」としてどうなのかが大事なのです。

本当は社長にとって格付なんて関係ない

裏を返せば、社長にとって格付なんてどうだっていいんです。

経営がどうか、ということに注力すれば本当はいいはずなんです。

自己資本比率が高い会社、利益の積み増しができて、ムダな設備投資もなく総資産を極力少なくしようとしている会社は、銀行の格付けが高い。銀行が三つ指ついて「お金を借りてください」と言ってくるでしょう。

こういうふうになっている会社の社長は「なんたら比率がどうだ」といったことは言いません。 流動比率が200%だからいい会社だとかいうことは気にしていないでしょう。

そのかわり、今月の自分の会社の入りと出がどうだとか、なんでこの取引先からお金が回収できないのかとか、より早く回収するためにどうしたらいいのか、といった経営の見地で物事を考えているはずです。

銀行員の言う決算書とは本質的なところではズレているんです。

つまり、銀行が望む決算書は、見た目だけが良くて実は不健康なファッションモデルと同じこと。

バスト、ウェスト、ヒップは峰不二子並に素晴らしいけれど、血糖値が高かったり、ガンマGTPが異常に高かったりするモデルさんっているんじゃないでしょうか?見た目の数値にこだわって無理して頑張っているのに残念、ということです。

決算書の本質的な部分からにじみ出てくる「何か」というものがあります。経営者の方はそれを見てください。

数字はウソをつかないと言われていますが、ウソをつきます。「見方」ですから

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