
銀行は一企業において、平均融資残高とともに平均預金残高を重視します。
それは平均預金残高が大きい企業ほど、実質金利が高くなり、それだけ銀行は儲かるからです。
こちらの記事は、前回の「平均残高」を覚えて銀行とうまく付き合うも併せてご覧になられることをオススメします。
目次
「平均預金残高」が大きいほど銀行が儲ける理由とは!?
例えばA社の平均融資残高が5,000万円で、融資金利が2.0%、平均預金残高が0円だったとすると、A社は5,000万円を金利2.0%で借り入れていたことになります。
一方、B社は平均融資残高5,000万円、融資金利2.0%、平均預金残高2,500万円だったとします。
この時、B社の実質平均融資残高は、平均融資残高から平均預金残高を引いた2,500万円になります。
すると銀行は、平均融資残高5,000万円・融資金利2.0%で計算された利息分を受け取っていたことになります。
もう少し分かりやすく説明します。
これが儲けの種!実質金利とは!?
まず、実質金利の計算式は次のとおりとなります。
実質金利=(融資額×融資利率-預金額×預金利率)÷(融資額-預金額)
預金金利を0.1%とすると、A社の実質金利は、
(5,000万円×2.0%-0円×0.1%)÷(5,000万円-0円)=2.0%
と、融資金利と全く変わりません。
銀行が受け取る融資利息は年間で5,000万円×2.0%=100万円
銀行はA社に5,000万円の融資を行って、年間で100万円の利息を稼ぐことになります。
次にB社の実質金利を見てみましょう。B社の実質金利は、
(5,000万円×2.0%-2,500万円×0.1%)÷(5,000万円-2,500万円)=3.9%
となります。
銀行は、平均融資残高から平均預金残高を引いた実質平均融資残高2,500万円の融資で、融資で受け取る利息100万円から預金で銀行がB社に支払う利息2.5万円(2,500万円×0.1%)を引いた97.5万円を稼ぐことになります。
97.5万円の利息を実質2,500万円の融資で割ると、実効金利が3.9%、という計算になります。
つまりB社は、5,000万円の融資のうち2,500万円は自社の預金を自ら借りているのと変わらないこととなり、しかし銀行にはその分も含めて融資の利息を支払っているため、B社としては損、銀行としては得、ということになります。
このように、銀行は儲けて利益を出すために、一企業において、平均融資残高とともに平均預金残高を高くするよう、注視しているのです。
銀行は融資先に、「預金残高」を大きくしておいてほしいと言う
あなたの会社が銀行から融資を受けているのなら、銀行から預金残高を大きく保つようにしておいてほしい、と言われることは多いのではないでしょうか。
その背景には、今回述べたことがあるのです。
そして銀行は、融資を受けるとともに預金残高を大きく保ってくれる企業は、銀行を儲けさせてくれる企業として大事にします。
銀行と付き合いを深めたいのであれば、預金残高を意識し、どこの銀行にいくらの預金を置くのかを常に考えておくと、銀行とのつきあいが上手くなっていくことでしょう。
しかし預金は、普通預金や当座預金にしておき、決して定期預金にしないことです。
融資を受けている企業が定期預金を解約しようとすると銀行に止められるからです。何かあった時に備え、いつでも預金を引き出せるようにしておいてください。