
相続・事業承継の対策を行う際、経営者からよく言われることが「何から手を付けていいのか分からない」です。
今回はその本質的な問題や解決策を数回のパートに分けてお伝えします。
目次
■事業承継と相続に共通する問題とは?
事業承継と相続に共通する問題とは、「将来必ず起こる問題」ということです。しかし実際のところ、ほとんどの方はその対策に手を着けられないでいます。
この本質的な部分が何なのか?
そもそも、事業承継・相続の対策をやらないといけない。このような気持ちや危機感をお持ちの経営者は非常に多いです。しかし、「どこからどういうふうに手を着けたらいいかわからない」という方がほとんどです。
もう1つは、「誰に相談したらいいか分からない」です。
実際、自分の顧問税理士さんに相談する。相談したとしても多くの場合は、なかなか具体的な相談の内容に乗ってくれない。そして時間ばかりが過ぎていき、株価の計算も渋々やってくれる・・・そんなケースが結構多いように見受けられます。
■何故顧問税理士が事業承継や相続のコンサルティングをやりたがらないのか?
これは簡潔に言うと、具体的に専門の領域が違うということです。
ほとんどの場合、顧問税理士さんというのは、会計業務、会社の決算をしていく実務の専門家です。なので日々これらのことにかなりの時間を費やされているのが実情です。
しかし、事業承継や相続のコンサルティングを行うと、変な話、やればやるほど自分の首を絞める・・・そういうことになりかねないというところが実態的にあったりします。
何故かと言うと、会計業務をされている方は、実務を淡々とこなしていき、決算をいかに間違いなく時間通りにやっていくかということがキモになります。
相続・事業承継の相談を受けるとなると、そこに株価の計算やいろんな付随な仕事が入ってくることになるのです。
基本的には、自分達が請け負っている仕事のフィーというものは、実務をこなしていくための、そして多くのクライアントさんをいかに回転させるかといったものなのです。
この部分で、専門性が少し違う・・・要は会計業務が中心で、相続・事業承継はあまり得意ではない。こんなことがあったりするのです。
このようなギャップが生じることで、誰に相談していいのかわからないという問題がポイントの1つになってしまっています。
■相続と事業承継、どちらから手を付けるべきなのか?
では相続と事業承継、どういった部分の問題が違うのか?
そして相続と事業承継、まずどちらから先に手を着けるべきなのかを押さえておきます。
まず経営者であれば、基本的には同時進行で行うことが前提ではあります。
しかし、経営者の問題事というのは銀行の借入、資金繰りの話、社員の雇用、教育など多岐にわたります。
あとは得意先、マーケティングなど、売上をどう立てていくか、取引先とどのような形で折衝していくか。こういうことで基本的に頭がいっぱいな状況にあるはずです。
その中で、先ほどお伝えしたように、最終的に経営権を握る実態になるものが「自社株」になります。つまりこの自社株をどうしていくかというのが最大のポイントになるのです。
自社株というのは、とりもなおさずこの経営者本人の問題というような形になり、これが結果的には相続の個人的な話(争う族など)に繋がっていくということになります。
そういう意味でいくと、相続というのは個人的な話ですが、その前提として、経営者としてはまずは会社の事業承継、この部分を押さえていく必要があるということが言えます。
その上で、最終的に相続に繋がっていくのが一般的になってくるのです。