立場で変わる決算書

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銀行員に決算書を渡し、目の前でパラパラと中身を見られていると、まるで丸裸にでもされたかのような気持ちになるものです。

なぜなら、彼らはその短時間のうちに自社の財務内容をすべて把握しているかのように見えるからです。そしてその場である程度の評価を下しているかのように思われることでしょう。

しかしこれらは全て杞憂です。なぜなら彼らは本当の意味で決算書を読むことができないからです。

どういうことでしょうか?気になる方は続きをご覧ください。

銀行員が言う「決算書」と、社長の「決算書」は概念が違う

「銀行員は決算書が読める」と皆さん思っているかもしれませんが、じつは銀行員は決算書が読めません

言わずもがな、決算書とは、会社が1年を通して、どのようにお金を使ってどのような活動をしてきたのかを表した、会社の経営活動を理解するために存在する書類です。

ところが銀行は平成10年以降、自己査定といわれる銀行の格付けにおいて、お客様に融資をするかどうかは、不良債権の額を確定させ、どうやって回収していくか、という観点において決算書を見る文化になってしまっています。

一般社会で呼ばれている「決算書」と銀行員が言っている「決算書」は別物であると思っていいくらいです。

いまの若い銀行員は決算書を「本来の意味で読む」という文化がありません。文化がなければ当然、読めません。優秀な大学を出た人材を採用しているわけですから、読むための素養はあります。でも、読む習慣がなければ読めるはずもないのです。

いまの50代より上の世代は、本当の意味での読み方を教わっています。でも、平成10年より前に教わったことですから、いまはもうほとんど薄れてしまっていることでしょう。だから、読みたくても読めないといったほうがいいかもしれません。

それでも、銀行は企業に対して決算書の提出を求めます。

読みもしないのに不思議です。

彼らが決算書を求めるのは、実行後の貸出管理をしたいからにすぎません。

これが銀行の銀行による銀行のための自己査定といわれているゆえんであり、世間一般が考えている銀行の格付と言われているものです。

銀行内での決算書の管理方法

ちなみに銀行員に決算書を渡すと、コピーを本部に送ります。そして本部でその内容が入力されます。自己査定のときに、ラインシートという修正評価のシートに数値が入力されて、修正をかけていくというイメージです。

一方、支店では、お客様からお預かりした決算書をコピーしてファイルします。融資の口数が3口、4口とあれば個別ファイルを作って背番号をつけてファイルします。借入の稟議等、融資を出して返済が終わるまでずっと取っておいてあります。

順を追って見ようと思えば見られます。でも、実際ほとんどの銀行員は順を追って見てはいないでしょう。融資係などで非常に優秀な人で変化に気付けるような人の中には見ている人もいます。でも、普通の人は時間がないから見ることができないのです。

格付のためにも融資のためにも「債務超過か否か」をチェック

いろいろな所で語られていますが、格付は、大まかにいうと5つに分けられています。

正常先、要注意先、破綻懸念先、実質破綻先、破綻先。端的にいうと、破綻懸念先以下に認定された企業に銀行は融資をしなくてもいいことになっています。

では、破綻懸念先がどういう企業か。ここで決算書の登場です。

いろいろな項目がありますが、まずは貸借対照表の純資産の部。ここが表面上、1円でもマイナスになっていたら、銀行員は腕組みして「社長、決算書の”形“が悪いですね」と言うわけです。つまりこれは「お前の会社には金は貸さない」と言っているのと同じこと。

銀行員が決算書をもらったら、まず、「純資産の部」の合計、わかりやすく言えば自己資本の部の合計がマイナス、つまり債務超過になっていないかどうかを見るわけです。

債務超過になっていなければ、次の項目を見ます(次の項目については後述します)。

例えば女性も年齢を重ねると化粧が厚くなったり濃くなったりしますよね。もちろん、その人の取り組み方によって違いますが、一般的にはそんな傾向にあると思うのです。

会社も一緒で、年数が長くなればなるほど、垢がつきます。企業も税理士さんも、したくてしているわけではないはずなのですが、程度の差はあれ、多くの企業がお化粧をしているのが現実でしょう。

銀行員は、一生懸命スッピンを妄想します。つまり、現実に引き直してみてみるわけです。

銀行員にお化粧はわからない……と言われる方も多いですが、マニュアルがあるので、できるはずです。

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