
普段顔を出さない支店長が、いきなりやってくる・・・
これにはビックリしてしまいますよね。そして、銀行の支店長がやってくるということは、どんな背景があるのか?勘ぐってしまうのではないでしょうか。
では、普段顔を出さない支店長がいきなり訪問してくる場合、考えられる背景を見ていきましょう。
目次
① とにかく外に出たい、融資先のことをもっと知りたい。
支店長は営業畑と融資畑のタイプがいます。
営業畑の支店長は、それまでのキャリアの多くを営業係として積んでいます。営業係の人事評価は、業績を上げることで高くなります。
一方、融資畑の支店長は、それまでのキャリアの多くを融資係として積んでいます。融資係の人事評価は、いかに貸倒れを出さないかが評価されるポイントです。
そこから、営業畑の支店長はとにかく、支店の業績を上げていきたい、そのために本部から課される多くのノルマを達成したいという意欲が高くなります。
一方で融資畑の支店長は、支店から貸倒れを出さないようにしたいため、融資審査はどうしても渋くなります。
その支店長が営業畑か融資畑か、あなたの会社の担当銀行員から聞いてみてください。
支店長が営業畑であれば、その支店長は積極的に外へ出てお客さんのところへ訪問する習慣がついているため、支店の中にずっといることにウズウズしてしまうのでしょう。
そのため外へ出て、お客さんを回りたいと思ったのでしょう。
なお、それぞれの支店にはVIP先が選定されています。VIP先とは、その銀行、その支店から見て、特に重要な融資先のことを言います。
ちなみに、VIP先は、次のような企業が選定されます。
①銀行が多くの融資を出している。
②その地域で存在感のある企業である。
③業績が優秀である。
④長年、その銀行をメインとして取引している。
⑤信用金庫・信用組合においては総代・理事である、もしくは過去にそうだった。
VIP先は、支店長が定期的に訪問するようになっています。
また普段は営業係洋画担当する場合が多いです。その支店の融資先が500社あれば、そのうち50社程度がVIP先になるイメージです。
一方で、VIP先ではない450社は、支店長はめったに訪問しないことになります。
営業畑の支店長は、VIP先以外にも積極的に訪問していきたいと考えます。それが企業にとっては、いきなり支店長が来た!というように見えるものです。
また融資畑の支店長にとっては、支店からいかに貸倒れを出さないようにするかの意識が働いています。
融資畑の支店長はそれまでのキャリアで融資係として支店の中にとどまって仕事をしていたスタイルから、外に積極的に出たいというタイプは少ないです。
しかしその中で、融資先のことをしっかり見ておくことにより、今後、融資先から融資が申し込まれたときの審査に活かしたい、ということも考えます。
そこから、融資先をまわって、融資先がどのような企業であるか見ておきたいという動きに繋がります。
融資畑の支店長がいきなり訪問してきた場合、融資先をじっくり見てみよう、と支店長は考えていることが多く、企業はしっかり対応しておきたいものです。
② 部下の銀行員がどう働いているかを知りたい。
支店長は、支店を統括する立場ですが、部下の行員がしっかり働けるよう指導する、また行員を評価する、その役割も銀行内で求められています。
そのため、部下が実際の現場でどのように働いているか、部下と同行することにより見てみよう、と考えた場合、企業にいきなり訪問することになります。この場合、必ず部下との同行の形になっています。
ただし、部下の働きぶりを見るとともに、せっかく企業を訪問するのですから、その企業の事も合わせて知りたいと考えていることでしょう。
③ 支店のノルマが達成できなさそうで焦っている。
支店長自ら融資を受けてほしい、生命保険や投資信託などを購入してほしい、といった売り込みをしてきた場合・・・
それは、本部から課せられている支店のノルマを絶対達成させるべく、支店長自らが動いているケースが考えられます。
普段は営業係の行員を中心に、支店のノルマを達成できるように活動していくものであり、支店長自らがお客さんの所に出向いて売り込みをすることはほとんどありません。
それが支店長自らの売り込みとなると、ノルマが達成できずに困っているという事が考えられます。
支店長が人事部から評価されることの一つに、支店のノルマの達成度合いがあります。本部には、営業推進部の様な名称の、支店にノルマを課し、数字を管理していく部署があります。
ノルマが達成できないと、営業推進部から責められ、銀行によっては頭取、役員からも責められます。
そしてノルマの未達が続くと、支店長はそれ以上の出世の道が断たれることでしょう。
④ 支店長がいきなり訪問したからと焦らない。
VIP先でない企業はたぶん、支店長が訪問してくることはなかなかないのですが、いきなり支店長が訪問してきたとき、多くの企業はビックリしてしまうものです。
しかし、その背景は何なのか?これまでお伝えした情報をお元に目星をつければ、おそれずにしっかり対応できるようになるでしょう。