自社株が高騰する理由とは!?

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資本金1000万円で立ち上げた会社の株の価格が、〇億円になっていた!こんな話は中小企業ではよくある話です。

そこでなぜ、そもそも1000万円で立ち上げた会社の価値が○億円にも膨らむのか?その構造を紐解いてみます。

目次

決算書の構造を紐解けば自社株高騰の謎が解ける!

これを紐解くカギは、決算書の構造を知ることです。まず損益計算書、PLとも呼ばれています。

図を元に説明します。(数字は百万単位)

例えば売上高が約20億の企業。原価が約70%、14億円とします。

そうすると、この会社の粗利(売上総利益)は6億円。それに対して、販管費(経費)の金額が5億5千万でした。

販管費というのは、社員の給与や役員報酬。事務所を回していくための経費、家賃や商品の原価以外の固定費です。

これが5億5千万だとすると、粗利が6億に対して、固定費5億5千万ということは営業利益が5千万となります。

その後、銀行の借入(支払利息)などその他の経費で、例えば1千万かかったとします。

すると残ったものが経常利益として4千万。

次に現れるのが特別損益損失。取引先が倒産し売掛金が焦げ付く、不動産を購入した金額より安く売却し損が出た。

役員が退任し、退職金を支払った。。。このような毎期発生するものではないものを特別損失として計上するわけですが、この部分が1千万あったとします。最終的に経常利益からこの特別損益を引いたものが税引き前利益となります。

ここまでの計算で行くと、税引き前利益が3千万残ることになります。この利益に対して、法人税が課税されます。

3千万の利益に対して約40%、1200万の法人税だったとすると、残った利益は1800万。

この残った1800万が当期純利益といて損益計算書の一番下に計上されるわけです。この流れはあなたもご理解されていることと思います。

しかし実は、この税引き後の当期純利益がBS、貸借対照表のある部分へ計上されることで、会社の株、いわゆる自社株の価格がどんどん膨らんでいくことになるのです。

利益は貸借対照表のどの部分へ移行するのか!?

それでは税引き後に残った利益がどこに移っていくかと言うと、B/S、貸借対照表の「利益剰余金等」、ここに計上されることになります。

要は毎期、キチンと納税を行い、利益を計上し続けることで残った内部留保と言われる利益剰余金がどんどん膨らんでいくのです。

例えば1千万の資本金の企業を例にすると、その1千万と利益剰余金の金額を足したものが、「純資産」となります。

これがもともと、株価が1千万の価値であった企業が、

毎期利益を計上していくことで純資産が2億、3億というような額に膨れ上がっていき、株価が高騰するのです。

株価が高騰するがゆえに、事業承継をする際、この高騰した株をどう移転するのか?ということが非常に大きな問題になってくるのです。

高騰した株価をスムーズに次期後継者へと移すためにはどうしたらいいのか

一つの方法としてタイミングを見定めたある1期だけ大きな損を出すことです。

損が出たことによって、株価を高騰させている利益剰余金がかなり圧縮されます。

実は利益剰余金が圧縮されたタイミングで対策を打つと、非常に事業承継はスムーズにできるのです。

これが1つのサクセスパターンです。この辺りをこれから徐々に、解説をさせていただきます。

売上があり、最終の税引き後の当期純利益、これが利益剰余金という形で、年々貯まっていき、剰余金が貯まっていくことによって、純資産が増えていきます。そして資本金と剰余金を合計したものが純資産。

この純資産が膨らむことで株価が高騰していくことをお伝えしてきました。

ところが、実は株価を計算する時には、この純資産という額が、必ずしも株価と一致するとは限りません。

何故かと言うと、例えば購入した時の簿価で計算、計上している土地の値段です。

決算書には簿価と時価が混在しています。その代表例が土地なわけですが、株価計算の時には時価で計算し直さないといけないというルールがあるのです。

そうすると、バブル以前から会社を経営されて、土地をその時代から所有しているような企業であれば、簿価と時価というのは当然時価の方が高くなってきます。

そうなると、純資産の額もそれに応じて純資産の額より株価の方がより大きくなるというケースも結構あったりするのです。この辺りが株価計算の時に注意が必要になってくるところです。

そのため、会社に利益が残れば残るほど、純資産が増え、株価が上がっていく要因になります。

なので事業承継の問題の肝というのは、自社株対策、ここが非常に大事なポイントなのです。

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