資金に余裕が出たら繰り上げ返済はした方がいいのか?

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先日、あるクライアントからこのような質問を受けました。

例えば、1年の短期で2,000万円と、5年の長期で2,000万円を借りた場合、資金に余裕ができたら、いずれも返済期日前に返済をしたいと考えています。

これに対する銀行の今後の弊社に対する融資の姿勢に変化はありますか?

また、このような返済に対して銀行はどのように思うのでしょうか?

あるいは、このような返済は行わないほうがいいのでしょうか?

金利が0%であれば、返済期日までそのままでもよいのでしょうが、金利=費用がかかりますので、1円でもその費用がかからないようにしたいと考えています。

あなたはこのようなケースの場合、どのような判断基準をもって融資を返済していきますか?

誰もが悩むこのような状況、果たして、何を基準に判断を下せばよいのか、お伝えします。

目次

■まずは資金繰りを予測する。

会社が資金繰りを行うにあたって考えておくべきことは、手元に残る現金預金の量です。

月次の資金繰り表、つまり現金預金の毎月の月末残高がどれだけ残るかを予測する表を作って資金繰り管理するのが一般的ですが、将来1年程度の資金繰り表を作り、資金繰り予測を行います。

また資金繰りは、売り上げと原価、経費の予測がベースとなりますので、合わせて損益計画も作ります。

毎月の月末残高は月によって増減はありますが、残高が最も少なくなる月で、最低でも月商の1か月分は確保したいものです。

例えば、あなたの会社の年商が1億2,000万円だとすると、月商は1,000万円(年商÷12か月で算出)です。

そこから1年間の月末の現金預金残高が最も少なくなる月で、最低1,000万円以上になる資金繰りを考えます。なお、理想の現金預金残高は、月商の3か月分です。

また、将来の資金繰り計画の中で、銀行から融資を受ける予定を入れることにもなりますが、銀行のあなたの会社への融資スタンスを考えながら、融資審査が通らなかった時のリスクも考えておきます。

そのような資金繰り計画を作成した上、それでも資金が余るのであれば、返済期日前の繰り上げ返済を考えてもいいでしょう。

資金があるからと銀行へ繰り上げ返済を行うことにエネルギーは必要ありませんが、銀行から新たに融資を受けることは大変なエネルギーが必要です。

将来、銀行はあなたの会社に融資をだい続けるとは限らないということも考えながら、繰り上げ返済は慎重に検討してください。

■当座貸越を検討する

なお、融資枠を設定し、その中でいつも融資を受けたり返済したりできる当座貸越という方法があります。

例えば極度額を5,000万円と設定した当座貸越の契約を銀行と交わせば、その中でいつでも融資を受けたり、返済したりすることができます。

しかし当座貸越は、銀行から見てよほど信用力がある会社か、十分な担保を提供できる会社にしか設定しません。

また、当座貸越の設定期間は1~2年ですので、もし次の審査が通らず当座貸越契約が更新できなかった時のことも考えておかなければなりません。(但し、更新ができなかったらその時点で当座貸越で受けている融資を毎月の分割返済に切り替えることが通常です。)

このようなことを頭に入れながら、当座貸越契約を銀行で設定してもらえるよう銀行と交渉するのも一つです。

■違約金が発生しないか

長期(1年以上を超える期間)で分割返済を行っていく融資の場合、金利が固定型の場合は、繰り上げ返済を行う場合に違約金が発生する場合があります。

融資を受けるときに銀行と交わした金銭消費貸借契約書で確認したり、銀行の担当者に確認しておくといいでしょう。

■銀行は繰り上げ返済を嫌がる 

銀行は返済期日前の繰り上げ返済を嫌がることが多いです。なぜんら銀行の各支店には目標数字があり、融資量の増加もその一つだからです。

銀行の本部から各支店へ半期(4月~9月、10月~3月)ごとに、『融資量をこれだけ増加させよ』という目標数字が張られます。

その中での繰り上げ返済はその支店にとっての融資増加量の目標値を遠ざける要因になるのです。今後の銀行とのいい関係を保っていくにあたって、繰り上げ返済を銀行に無理に押し通すことは、マイナスとなる可能性もあります。

もし繰り上げ返済を行うにしても、その銀行での融資残高を0にするまでの繰り上げ返済は、その銀行から今後二度と融資を受けないという場合でない限り、やめておくべきでしょう。

融資残高が0になれば、その銀行へ定期的に決算書や試算表を出す必要がなくなるため、関係が疎遠になるのが普通です。

銀行は既存の融資がある会社に対して、融資審査はスムーズに行いやすいのですが、融資残高が0で関係が疎遠となっている会社に対しては融資審査に時間がかかってしまいます。

なぜなら銀行は再度その会社のことについて1から調査しなければならないからです。

以上のことを考えながら、繰り上げ返済を行うかどうか考えてみてください。

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