
あなたは銀行員の言うことを聞きすぎていませんか?
銀行員の言うことは1つ1つその背景があります。
その背景を理解したうえで、あなたは銀行員の言うことを受け入れるか、受け入れないかの意思決定をすべきです。
それがすなわち、銀行員との上手な付き合い方になるのです。
ところであなたは、銀行員からよく商品の提案を受けていませんか?
商品を見てみると、融資はもちろん、役務・投信・保険など様々なものがあります。
それでは、銀行が商品を進めてくるその背景を見ていきましょう。
目次
銀行の数値目標達成のため
私は10年間、地方銀行に勤めましたが、最も記憶に残っていることは数値目標の多さです。
数値目標の対象期間は銀行の半期決算に合わせて4月~9月、10月~3月。
銀行の本部が各支店にこれだけの数値を達成するようにと数値目標を割り振ります。
その数値目標の数がとても多いのです。ちなみに、数値目標には次のようなものがあります。
■融資残高増加につながるもの
■支店の収益に関するもの
■預金残高の増加につながるもの
■銀行の付随業務や銀行関連会社の利益に結び付くもの
1つずつ見ていきましょう。
銀行の大きな4つの数値目標の内訳は?
①融資残高増加につながるもの
・融資の期中平均残高の増加
・信用保証協会付融資の期中平均残高の増加
・新規融資先数
・住宅ローン残高増加
②支店の収益に関するもの
・経常収益(銀行の売上高。融資利息や手数料収益など)
・手数料収益(振込手数料・手形取立手数料・外国為替手数料など)
③預金残高の増加につながるもの
・年金口座の増加
・給与振込口座の増加
④銀行の付随業務や銀行関連会社の利益に結び付くもの
・投資信託預かり残高増加
・クレジットカード獲得
銀行員は常に数値目標に追われている!?
このように、数値目標が設定された項目が約40項目もあり、本部から各支店に目標が割り振られるのです。
例えば融資の期中平均残高の増加目標が、半期で銀行全体で500億円だったとします。これを各支店で割り振ります。
A支店は都心で企業が多く集まっているから10億円の目標。
B支店は住宅街にあり、個人のお金持ちが多いから融資残高増加の目標は5000万円に抑えるが、投資信託預かり残高の増加目標を多くする。といった具合です。
そして支店に割り振られた数値目標は、支店においてさらに行員ごとに数値目標が割り振られることになります。
特に営業の役割を担う得意先係には、多くの数値目標が割り振られます。数値目標は達成しなければなりません。
また数値目標を達成しなければならない項目数が多いので、それらの目標達成にいつも走り回っているのが現実です。
それぞれ数値目標を割り振られた得意先係は、どのようにそれを達成するか、思案することになります。得意先係は、それぞれ担当取引先を持っています。
そしてそれは、地域で割り振られているパターンが多く、例えばこんな感じです。
得意先係長の下、総勢5名の得意先係がいて、重要な取引先は得意先係長が、それ以外の取引先は4つのテリトリーに分けられるます。
それぞれ担当が割り振られ、得意先係はその限られた担当数の中で、数値目標を達成しなければならないのです。