
過去、両親の相続でものすごく苦労されたAさん。一般的に、相続のご相談に来られる方は70代以降の方が多いのですが、Aさんはまだ62歳。
これから「老後」を迎えるかたの相続対策はどのようにしていけばいいのでしょうか?
※本事例は、ご相談者の許可を得て個人が特定されないよう一部内容を変更してお伝えしております。
【相続の相談者・相談のきっかけ】
夫(Aさん)62歳、妻(Bさん)60歳
ご夫婦でセミナーに参加したことがきっかけ。夫が親の相続時にとても苦労をしたため、自分たちはきちんと対策したいと考えているため。(延納の経験がある。)
【家系図及び資産の状況】
家系図
不動産
① 旧自宅(土地・建物) 4,000万円
② 自宅(二世帯住宅) 3,500万円
③ アパート(土地・建物) 5,000万円
④ 駐車場 1,000万円
⑤ マンション(土地・建物) 15,000万円
金融資産
①現金 4,000万円
②投資性商品 1,500万円
③生命保険 2,500万円
④小規模企業共済積立金 2,000万円
【ご夫婦の考え、想い】
- 相続が発生した時に子供に迷惑を掛けないようにしたい。
- アパートの建て替えを検討しているが、名義を誰にしたらよいか分からない。
【対策の方向性】
不動産については、借家建付地評価、小規模宅地の特例、広大地評価の適用を検討。適用できれば、最大7,000万円近い圧縮につながり、1,000万円ほどの相続税の節税となる。
他の節税も考えられるが、まだ相談者が60歳と若く、今後の老後の生活設計を踏まえてどの方法が最良かを検討していくこととする。(平均余命が20年超とまだ長いため、現金を大きく動かすような生前贈与などの対策は、これからの老後の生活に影響を及ぼす可能性が高いため。)
相談者は退職後、不動産賃貸業に力を入れたい想いがあるため、現在の不動産の所有状況と今後の展開を考慮し、法人化も視野にこれから検討を重ねていく。
【まとめ】
今回のケースはこれから老後を迎える現役世代の相続相談でした。現役世代の相続対策で特に大事なことは、これからの生活に影響が出ないことです。
相続対策というと相続税の節税に目が行きがちですが、節税とは=財産を圧縮することであり、行き過ぎた節税はその後の生活を圧迫しかねません。
更にご相談者のAさんは、これから不動産賃貸業に力を入れていきたいとの想いをお持ちでこれから先の資産状況がハッキリしない段階で相続対策を行うことは早計と判断しました。