コロナ融資・返済据え置き期間終了後に真の恐怖が訪れる!?

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現在、コロナ保証融資に関する情報が飛び交っています。現場で経営者と面談していると銀行員も会計事務所も「とりあえず借りておきましょう」といったアドバイスを行っているように感じます。

とりあえず借りる。これではコロナ終息後、あなたの会社はV字回復を図ることが困難となるでしょう。多くの銀行員・会計事務所もこの理由を教えてくれないのです・・・

コロナ融資にかかわらず、一般の融資についても元金の据え置きを行うケースはあります。

多くは設備投資の融資後、その効果が出るまでの6ヶ月~1年間は元金の返済を据え置くといったことは珍しいケースではありません。

なぜなら設備投資をしたからと言ってすぐにその投資効果が反映され、売上と利益を生み出すかと言われればそうではないケースが多いからです。しかし、今回のコロナ融資に関しては「運転資金」がメインです。

一般の融資で運転資金を目的に借入を行う際、銀行側に元金返済の据え置きを行う習慣があるかというとその答えは「NO」、ありません。

ではなぜ、元金据え置きについてお伝えするのかというと、据え置き期間が終了した時こそ、本当の地獄が始まるからなのです。ちなみに各コロナ保障融資の元金据え置き期間は下の通りです。


① 信用保証協会・・・元金返済据え置き期間:2年間

② 日本政策金融公庫・・・元金返済据え置き期間:5年間

③ 商工中金・・・元金返済据え置き期間:3年間

※保証協会・日本政策金融公庫・商工中金は据え置き期間が2~5年とありますが、実際は6ヶ月~1年の据え置き期間しか認められないケースが見受けられます。(4月15日時点)


では、例として下の図のように各金融機関から今回のコロナ保証融資でそれぞれ5,000万円の融資を受けたとしましょう。各据え置き期間や毎月の返済額及び年間の元本返済額は下の通りです。

金融機関 融資金額 据え置き期間 毎月の返済額
信用保証協会 5,000万円 1年 43.6万円/月
日本政策金融公庫 5,000万円 1年 43.6万円/月
商工中金 5,000万円 1年 43.6万円/月
毎月の返済額合計 138.9万円/月
年間の返済額合計 1,666.8万円/月

信用保証協会・日本政策金融公庫・商工中金への返済は毎月43.6万円です。

各金融機関の返済を合計すると毎月の返済は138.9万円で年間にすると1,666.8万円の返済となります。

そしてここからが重要です。多くの中小企業には既存の借入が存在し毎月、返済を行っているはずです。そこにこの新たなコロナ保証融資が重なるとどうなるのか?ここを考えてほしいのです。

例えば、上の図のコロナ保証融資に既存の借入を加えると毎月・年間の返済はどうなるのかということを見てみましょう。

金融機関 融資金額 据え置き期間 毎月の返済額
信用保証協会 5,000万円 1年 43.6万円/月
日本政策金融公庫 5,000万円 1年 43.6万円/月
商工中金 5,000万円 1年 43.6万円/月
既存の借入 2億円(7口) 300万円/月
毎月の返済額合計 438.9万円/月
年間の返済額合計 5266.8万円/月

ご覧いただけましたでしょうか。コロナ保証融資の返済は年間で1666.8万円でした。

しかし、ここに既存の融資の返済である300万円/月×12ヶ月=3,600万円を加算するとなんと、毎年の返済は5,266.8万円となるのです。

ではこの5,266.8万円の返済原資を経営者であるあなたは答えることが出来ますでしょうか。売上でしょうか。違います。答えは利益です。正確に言うと、

フリーキャッシュフロー(経常利益+減価償却-法人税等)が返済原資となるのです。

多くの中小企業は【フリーキャッシュフロー(返済原資)< 借入の返済】といったようにフリーキャッシュフローと返済のバランスが取れていないケースがほとんどです。

そこに今回のコロナ保証融資の返済が重なるとどうなるでしょうか。

果たして、返済をしていくことは可能なのでしょうか。コロナ保証融資だけの返済で言うと、会社の規模にもよりますが何とか返済していけそう・・・そんな気がしないでもありません。

しかしここに既存の借入の返済を加えると、上の例のように返済額が跳ね上がるケースがかなり多く見受けられるのです。

リーマンショック・3.11東日本大震災時もこれと同じ光景をよく見たものです。

このような会社は返済がかなり難しく、倒産していくことが非常に多かったのも事実です。

ではどうしたらいいのでしょうか。

それは【既存の融資の債務圧縮を極限まで図る】ことです。そして既存の融資の返済を削減することです。

その上で1年間ないしケースによって2年間の元金返済の据え置き期間の間で、売上をどのようにして上げていけばいいのか。会社の無理・無駄な経費はどこにあるのか。

新しい経済環境に対応していくためには誰が・いつ・どこで・なにを・どのようにして・いくらのお金を用い・そしてなぜそれを行うのか。といった計画の作成と振り返りを行っていかない限り、再建は難しいでしょう。

何でもいいからとにかくお金を借りる!そして据え置き期間は長くする!こういったことではなく、計画性を持って融資を取り組む。そして借りたお金を再建を図るためにどのように使うのか。

このような考え方と取組が非常に重要なのです。

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