余裕のある時にこそ銀行から融資を受けておけ!?

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銀行が新規で融資を行った企業が、数か月から1年程度で返済ができなくなったり、いきなり破産したり、ということは少なくありません。

新規企業でも融資を出したという事は、決算書などを見て融資審査を行い、返済能力があると判断したという事になります。

しかしそれでも、数か月後に返済できなくなるという事が起きるのです。

ではなぜ、銀行はそんな企業に融資をしてしまったのでしょうか。

なぜ新規融資先は返済ができなくなることが多いのか

まず、銀行の融資審査は決算書が8割であり、決算書の内容で左右されやすいです。

そして中小企業で、しかも業績が悪い先で何ら粉飾をしていない企業は少数です。

多くの企業は業績が悪化している中で銀行から融資を止められたらお金が回らない。何とか融資を受け続けなければ!と粉飾に手を染めてしまうのです。

そして銀行側では、粉飾決算を実際に見抜くことは難しいようです。しかしそんな中でも粉飾が判明した事例が存在します。

粉飾が判明した事例1

粉飾が判明した事例の1つ目は、社長から提出された決算書と、その顧問税理士から銀行に直接提出してもらった決算書の内容が違ったという事例です。

同じ期の決算書なのになぜ違うのか・・・貸借対照表の純資産が200万円違うのです。

税理士から提出された決算書の純資産は150万円。社長から提出された決算書の純資産は△50万円とマイナスで債務超過の状態。

初めは税理士から提出された決算書を元に融資を実行したました。

しかしその後、何らかの理由で社長から同じ期の決算書を提出してもらい、数字の違いが判明したというものです。

社長を問い詰めても、「税理士に聞いてください」と答えます。

そこで税理士に尋ねると「えっ!社長はそっちの決算書を出したのですか!?」

このようなやり取りが行われたということです。

粉飾が判明した事例2

粉飾が判明した事例の2つ目です。

これは前々期の決算書と前期の決算書で繰越利益の数字が合っていなかったことで判明したものです。

この事例もまた、通常の決算書と粉飾の決算書が存在していたのです。そして、企業側のミスでこのことが発覚したものです。

通常、粉飾決算は税務署に出している通常の決算書自体を粉飾しているケースが多いものです。

この場合、決算書は1つしかないためお伝えしたような事例のようなことは起きません。

そして銀行側も粉飾決算であるかどうかは明確に判断ができないものです。

ただし銀行員もプロですから、この決算書は怪しい・・・と感じることはあります。

しかしそれが粉飾決算かどうかは企業から白状されるか、全ての仕分けが記録されている総勘定元帳をつぶさに調査するしか判明できません。

そして「上手い」粉飾決算であれば、銀行側もその決算書を怪しいとも思わず、企業から騙されてしまうものです。

そして、そのような企業に銀行は新規の融資を出してしまい、数か月後に返済ができなくなる・・・というパターンが多いのです。

このようなことが多くあるため、銀行は新規企業の融資審査に慎重なのです。

一方、何年も融資取引を行っている企業では、返済実績があります。

何年もの返済実績、長年の資料のやり取り、そしてコミュニケーション。これらを繰り返し、そして時間をかけることで銀行からの信用は付いてきます。

そのため新規の融資先に対し既存の融資先については融資の審査がゆるくなるのです。

新しい銀行で融資を受ける際、5年の分割返済が希望であったにもかかわらず、1年の分割返済となってしまった。

融資の希望額は3,000万円であったにもかかわらず1,000万円に減額された。

これらの背景には銀行は新規の融資先には慎重にならざるを得ないという事情があるのです。

そして返済実績が出来れば、返済の期間や融資の金額を希望に近い額で対応してくれるようになります。

つまり銀行は、企業の返済実績を見て信用するようになった。ということです。

■資金に余裕がある時でもあえて借りる

「銀行は晴れているときに傘を貸し、雨が降った時には貸さない」とはよく言われることです。

『業績がいい時や資金繰りが十分回っている時に融資を受けても仕方がない!』と思うものですが、業績がいい時こそ、あ・え・て融資を受けて「返済実績」を付けておくのも手です。

また、業績がいい時こそ、融資を受ける銀行を増やしやすい時期とも言えます。

資金繰りが回っている中、あえて融資を受け、返済実績を作っておく。

これが業績が悪くなったり、資金繰りが悪くなった時に銀行から円滑に融資を受けるための信用構築となります。

また借入を多くして手元の現預金を増やしておくことも一つの手です。

なぜなら業績が悪くなった決算書を銀行から見られ、融資が困難になった場合に手元の現預金が多ければ資金繰りを持ちこたえるだけの時間稼ぎもできるからです。

経営者が、会社の資金繰りを考えるために一番見るべきポイントは現預金の残高であり、借入の残高ではありません。

借入残高を見ると無意識に減らそうと考え、十分な現預金がないにもかかわらず無理な返済をしがちです。

結果、借入は減らせても現預金がなくなり、かえって資金繰りが悪くなってしまうのです。

借入残高が少なくても、現預金残高が少なければ資金繰りは苦しくなります。

しかし、借入残高が多くても現預金残高が多ければ業績が悪くても資金繰りを持ちこたえさせることができる可能性は高まります。

長い間、時間稼ぎが出来れば経営を立て直す、又は資金繰りを立て直すことも十分にできるでしょう。

なお業績が悪化した時には、現預金を減らしてしまう前に銀行に融資を申し込みます。

その時に、現在の現預金残高を背景に当面の資金繰りの安全性をとその間に経営を立て直す旨を経営改善計画書と併せて説明することができます。

この例の通り、手元の現預金があるという事は心強いことなのです。(※ただし、現預金には定期預金、定期積金は含みませんのでそこは注意が必要です。)

晴れている時に傘を貸り、雨が降った時にも傘を借りることができるようにするには、企業の業績が良く、資金繰りが回っている時にこそ対策が行いやすいのです。

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